2011年9月24日土曜日

燃料の再臨界による中性子線で水素が発生。格納容器が水素爆発する可能性が出てきた。(追記:格納容器が100%の水素で満たされた状態)

怖いニュースが入ってきました。

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格納容器配管から高濃度の水素検出「爆発の危険性低い」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110923/dst11092314300005-n1.htm

東京電力は23日、福島第1原発1号機の原子炉格納容器につながる「スプレー系」と呼ばれる配管から濃度1%を超える高濃度の水素を検出したと発表した。水素濃度が4%、酸素濃度が5%を超えると爆発する可能性もあるが、東電は「(水素爆発を避けるための)窒素を封入しており、酸素はほとんどゼロに近い」として、爆発の危険性は低いとみている。

東電によると、格納容器から漏洩(ろうえい)する放射性物質の放出量を低減する「ガス管理システム」の設置工事に向け、水素測定器で濃度を計測したところ、測定器の上限値1%を超えていた。東電は23日午後、1%以上測れる測定器を使って改めて計測する。

事故当時、1号機は原子炉内の燃料棒が水から露出し、炉心が溶融。放射性物質の「崩壊熱」で核燃料を覆うジルコニウム合金製の「被覆管」が溶けた。

この際、ジルコニウム合金と水蒸気が反応して、大量の水素が発生しており、東電はこの水素や、事故後に水の放射線分解で生じた水素が配管を逆流した可能性があるという。

1号機では3月12日、原子炉建屋が水素爆発で大破。4月6日から水素爆発しないよう、1号機格納容器内への窒素注入を続けている。ただ、1号機格納容器につながる配管から高濃度の水素が見つかったことで、東電では2、3号機でも水素がたまっている場所がある可能性があるとみて調査を進める方針。

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燃料がすべてメルトダウンしてるのに、ジルコニウムの被覆なんて残ってるはずがありません(追記:後藤政志氏の解説により、残っている可能性が言われていたので、訂正します。ジルコニウム水分解では、かなりの量の水素を発生するようです)。そして、記事では、さらっと書かれていますが、放射性分解で生じた水素もあると思われます。(追記:2011/09/27の東電会見で、水蒸気の放射性分解によるものと発表されました。発生速度は1号機で0.4立方メートル/時、2,3 号機で0.5立方メートル/時とのこと)

「放射性分解」というのは、中性子線による分解です。中性子線が水の分子に当たると、水素と酸素に分解されます。

中性子線が出ているということは、ドロドロになった燃料が再臨界していることを示しています(追記2011/11/06:ベータ線による分解もあるみたいです。その場合は核分裂、臨界などせずに分解できます。コメント欄参照のこと)。どれだけの量が発生しているのかは不明ですが、量によっては水素爆発を起こすことは充分に考えられます。上から水をかけ続け、しかも燃料は地下水とも出会ってしまっているので、原料はいくらでもあります。

そして、窒素を入れているから酸素はほとんどゼロという東電の言い訳は、あり得ません。

水はH2O。放射性分解でHとOに分かれるのですから。水素が出来たということは、酸素も出来ているということです。自明の理です。

しかも1%などと言っているのは、1%までしか測れない機械を使っているからです。本当のところは何%あるのか分かりません。水素が4〜30%で酸素と混じると爆発を起こします。(追記参照)

「避難の必要はない」
「格納容器は破損していない」
「メルトダウンの可能性は低い」……etc

いままで政府・東電が「ない」「可能性は低い」と言ってきたことは、ほとんどが、現実のものとなりました。そして今回の「爆発の可能性は低い」→?

すべては闇の中ですが、東電があえて発表したということを見るに、かなり深刻な事態なのかもしれません。

そして! 怖いのは、このニュースが福島第1原発1号機の話だということです。今まで、1号機が辿ってきた経過を、3号機、2号機、4号機と後追いしてきました。つまり、再臨界、中性子線による分解、水素と酸素の発生が、今後、すべての機で起こる可能性があるということです。

地下で爆発した場合に、付近への影響やプルームの飛来など、どれだけの影響が出るのかは、まったく分かりません。前回の水素爆発は建屋でしたが、格納容器が吹っ飛ぶとなると……。

とにかく、平和ボケの抜けていない日本人は、まだ爆発の可能性があるのだということを知っておかなければいけません。原発災害はいまだ、何ひとつ収束していないのです。

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追記:2011/09/24 13:19

福島第1原発:配管内の水素「直ちに爆発ない」と東電
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110924k0000e040047000c.html

水素爆発を起こした福島第1原発1号機の格納容器に通じる配管から高濃度の水素が検出された問題で、東京電力は24日、配管内の気体は水素でほぼ満たされていると発表した。空気中の水素と酸素の濃度が一定以上になると、水素爆発の危険性が高まるが、東電は「配管内に酸素はほとんど無いとみられ、直ちに爆発の心配はない」としている。

東電は事故収束に向けた工程表に今月新たに盛り込んだ「格納容器ガス管理システム」工事の準備作業として、配管内の水素濃度を22日に調べたところ、1%を超えていた。配管内の気体の成分を新たに測定したところ、100%が可燃性ガスと判明した。東電は「(格納容器から出た)水素以外のガスの可能性は低い」と推測している。【八田浩輔】

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やっぱり1%どころじゃありませんでした。配管内のほぼ100%が水素ということは、格納容器内が水素で満たされているということです。それでも「直ちに爆発の心配はない」と。

このニュースを見ても、日本人はのほほんと暮らせるのか?

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追記:2011/09/25 2:03

配管内、ほとんど水素か=「爆発恐れなし」見解変えず―福島第1原発事故
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110924-00000053-jij-soci

福島第1原発1号機の格納容器につながる配管から1%を超える濃度の水素が検出された問題で、東京電力は24日、配管内部の気体はほとんどが水素である可能性が高いと発表した。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は同日の記者会見で、「着火源がないので、直ちに爆発のリスクが高いとは言えない」と述べた。

東電によると、23日午後に配管の出口部分の気体を複数回測定したところ、いずれも「水素を含む可燃性ガスが100%以上」との数字が出た。今後、水素だけを計れる測定器を用意し、正確な濃度を測定する方針。 

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「着火源がないので、直ちに爆発のリスクが高いとは言えない」

「静電気、余震による火花、崩壊熱などの着火要因があれば、爆発のリスクは高い」

と読めちゃうんですが、大丈夫ですか?


2 件のコメント:

  1. >>「放射性分解」というのは、中性子線による分解です。中性子線が水の分子に当たると、水素と酸素に分解されます。

    これは間違いです。
    中性子では水は分解されません。主に核燃料の中の核分裂生成物(いわゆる死の灰)から出るベータ線によって、水が水素と酸素に分解する現象です。

    ですから、臨界になった、ということはありません。

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  2. こんにちは。
    コメントありがとうございます。
    なるほど、ベータ線でも分解されるんですね。となると核分裂または臨界しなくても、水素が発生してもおかしくないですね。エントリに注釈を追記しました。

    中性子線では水分解されない、というソースはありますか? これはいろいろ専門家の言葉として知った記憶があるのですが。

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