2011年11月27日日曜日

東電「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない」

11月24日 朝日新聞
プロメテウスの罠 無主物の責任 1
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(記事書き起こし)
放射能はだれのものか。この夏、それが裁判所で争われた。

8月、福島第一原発から約45キロ離れた二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」が東京電力に、汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。

───事故のあと、ゴルフコースからは毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、営業に障害がでている。責任者の東電が除染をすべきである。

対する東電は、こう主張した。

───原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。

答弁書で東電は放射性物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。

無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。

さらに答弁書は続ける。

「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有しているわけではない」

飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ。

決定は10月31日に下された。裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の訴えを退けた。

ゴルフ場の代表取締役、山根勉(61)は、東電の「無主物」という言葉に腹がおさまらない。

「そんな理屈が世間で通りますか。無責任きわまりない。従業員は全員、耳を疑いました」

7月に開催予定だった「福島オープンゴルフ」の予選会もなくなってしまった。通常は年間3万人のお客でにぎわっているはずだった。地元の従業員17人全員も9月いっぱいで退職してもらった。

「東北地方でも3本の指に入るコースといわれているんです。本当に悔しい。除染さえしてもらえれば、いつでも営業できるのに」

東電は「個別の事業には回答できない(広報部)」と取材に応じていない。(前田基行)
(書き起こしここまで)

記事の画像は、2chコピペ情報局、東電「あ!よく考えたら放射能って誰の物でもなくない?あっぶねー除染するとこだったはwwwww」よりお借りしました。

*   *   *

他人の土地に毒物をまき散らしても、それは自分の所有物では無いので、除染する義務は無い、と東電が主張し、その主張が裁判で認められたという記事です。

裁判官にも電力会社の天下り先が用意されているので、司法が腐敗していることは周知の事実です。それにしても、この東電の傲慢さは、怒りを通り越して笑えるレベル。

毒物をまき散らして、それが自分の手を離れた途端に、責任が無くなるというのなら、オウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)や多くの実行犯たちは、死刑どころか、無罪でしょう。住宅街や地下鉄でサリンをまき散らしただけなのですから。

原発から45kmのゴルフコースを除染して、どの程度の効果があるのかについては、はなはだ疑問ではありますが、放射性物質による汚染が生じた場合の規則はちゃんと定められています。それには、しっかりと事業者が汚染の除去をしなくてはいけないことが書かれています。

(放射性物質がこぼれたとき等の措置)
第二十八条  事業者は、粉状又は液状の放射性物質がこぼれる等により汚染が生じたときは、直ちに、その汚染が拡がらない措置を講じ、かつ、汚染のおそれがある区域を標識によつて明示したうえ、別表第三に掲げる限度(その汚染が放射性物質取扱作業室以外の場所で生じたときは、別表第三に掲げる限度の十分の一)以下になるまでその汚染を除去しなければならない。

もはや正論を言っても、無駄な国になってますが、だいたい、放射性物質が誰のものか、という問い自体がおかしいでしょう。所有とか無主とか、そんな言葉遊びしてるヒマがどこにあるのか。

青酸カリの2000倍の毒性を持つセシウムなどの放射性物質を、人間の住む環境中にばらまいた超犯罪企業が、なぜ、いまだに存在しているのか。これに疑問を持たない人は、脳みそがパッパラパーと言わざるを得ない。

東電の所有資産を、避難、除染費用に充てて、企業体は一旦国が引き継ぎ、すべての役員の責任と罪を問わなくてはいけない。三権が腐ってしまったこの国では、もはや、G13型トラクターを売るしか無いのかもしれない。

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