2011年8月13日土曜日

大震災の後で投資について考えるということ

メディアがわあわあ騒いでいる円高について、橘玲氏がクリティカルな意見を提示しています。

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円高と株安についての個人的感想
http://www.tachibana-akira.com/2011/08/3016

(一部引用)

名目レート(青線)では円はたしかに戦後最高値になっていますが、インフレ率を勘案した実質レート(赤線)では7月末で101.46でしかありません。これは、「超円高」と騒がれた95年4月(実質レート151.11/1ドル=83.77円)はもちろん、99年末(実質レート131.37/1ドル=102.08円)や88年11月(実質レート124.17/1ドル=121.85円)よりもはるかに“円安”であることがわかります。

インフレ率(物価のちがい)を勘案した実質レートでは、現在は円高でもなんでもなく、今後、さらに20~30%円高になってもなんの不思議もありません。

このように、デフレと低金利がつづくかぎり、名目為替レートが円高になるのは避けられません。日本はG7などで「異常な円高」の協調介入を求めていますが、各国はもちろん、実質為替レートで見れば円高など存在しないことを知っているので、相手にされないのも当たり前です。名目為替レートを円安にするには、金利を上げるか、インフレにするかしかないのです(日銀がいくら市場介入してもなんの効果もありませんI)。

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詳しくは、橘氏の新刊「大震災の後で人生について語るということ」に書かれているとのこと。まだ読んでいないのでなんとも言えませんが、おそらく今後の生活に役立つ経済的なヒントがたくさん書かれていると思います。

『大震災の後で人生について語るということ』はじめに

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私は少額ながら、6年ほど株式投資を続けてきて、世の中に対してシビアな視点を磨くことができました。実質的なリターンはたいして得ていませんが、こうした見方を身に着けられたことが一番のメリットだったと思っています。

日本人は、カネに対しての考えがあまりに稚拙だと思います。投資という言葉に対する嫌悪を持っている人も少なくありません。カネを稼ぐなら、額に汗して働くのが本当だ、と。その考えも分かりますが、投資というのは決して、競馬やパチンコなどのギャンブルと同じではありません。確かに、高レバレッジをかけたFXなどはギャンブルと同じと言われても仕方ないものですが、投資行動というのはもっと多岐に渡っています。

銀行に預金することも、住宅を購入することも、また正社員、非正規社員問わず、労働することも一種の投資行動として見ることができます。投資は、およそ社会活動をする上で切り離せないものなのです。

昨年9月には、日本振興銀行が破綻して、日本初のペイオフが発動されました。経営悪化の深刻さは報道されていたにも関わらず、数千人の人がこの破綻で預金カットされたということです。彼らは銀行に預けておけば安心と信じ切っていたのです。さらに、銀行預金には、そうした破綻リスクだけでなく、実質価値の変動リスクもあります。金利や為替、インフレ、デフレによって、銀行に預けたお金の価値は、日々流動しているのです。

住宅を購入することは不動産投資に当たります。私は、投資行動として捉えていないのなら、住宅は購入すべきでない、と考えています。特にローンでの購入は高いリスクをともないます。これは、おそらく(住宅関連業者を除いて)投資行動をしているすべての人の意見だと思います。今回の震災は、不動産投資が持つリスクをまざまざと見せつけられました。

また、今までは、安定して高配当が得られる株の代表格として、電力株が知られていました。投資についてロクに勉強もせず、電力株に退職金や年金をつぎ込んでいた老人は多数いました。安心だという説明を信じていたからです。その東電株は現在、震災前の1/5の価格になっています。

投資行動には常にリスクがつきまといます。それは、人生にはリスクがつきまとう、ということと同義なのです。そして投資を意識するということは、自分の行動がもたらすリスクに対して責任を持つことなのです。

日本人はお金について、もっとちゃんと考えるべきです。アメリカの小学校では、授業で株式投資を学びます。また、少額の資金を与えて、実際にトレードをさせる親もいます。これだけでも、私はアメリカの教育に価値があると考えています。はっきり言って、日本の公教育は害悪のみで、価値がありません。

これからの日本がどうなっていくのかは分かりません。でも、自分の身は自分で守るということが、よりシビアに求められるのは間違いないと思います。

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