2011年12月15日木曜日

放射線は「確率」ではなく「確実」に細胞・遺伝子を破壊する


このブログでも、度々書いてきましたが、放射能による健康被害は、被曝線量の高低により、異なる発現の仕方があります。“ただちに”症例の表れる急性障害(確定的影響)と、数年〜数十年のスパンで表れる晩発性障害(確率的影響)に分かれるのです。

で、最近気付いたのは、この「確率的」という言葉が、ある種の勘違いを呼んでいるかもしれない、ということです。

「確率的」と聞くと、どうしても、全体の中の一部にだけ、ガンや白血病の人が出てくる、というイメージになってしまいます。1%なら、100人に1人、100万人に1万人、といった具合に。これは実際にその通りで、日本国民は今、強制的にロシアンルーレットをやらされている、といえます。リボルバーの弾倉と弾の数は分かりませんが。

そう、確かに、ガンや白血病に限れば、この「確率的」という言葉は決して間違いではない。間違いではないけれども、実際は、それよりも深刻なのではないか、と思うのです。

放射能による健康障害というのは、致命的なガンや白血病、心筋梗塞だけでなく、ありとあらゆる障害を引き起こします。

チェルノブイリ事故でよく知られているのは、脳への障害です。知能の低下、意欲の減退、言語障害といった、即死につながらない健康被害が数多く報告されています。また、日本に原爆が落とされたときは、原爆ぶらぶら病という病気が多数見られました。

ほかにも、血管の閉塞、結膜・網膜異常、呼吸器不全、消化器障害など、あらゆる健康被害が予想されます。しかも1種類だけでなく、何種類もの病苦が重なることも容易に想像できます。

で、「確率的影響」という言葉が使われるのは、ガンや白血病などのある意味分かりやすい病気に対してだけだ、ということです。そのほかの、全身に及ぶ健康障害については「確率的」とは明記されません。相関関係が証明されていないからです。

脳の障害や、複合的に症状が現れる内臓疾患、個人によって発現の仕方が違う病気は、病名を確定することすら困難です。ガンや白血病と違って、統計が取れないのです。

そのため、これらの症例は、今後、長い将来にわたって、裁判で放射能による障害と認められることはありません。曖昧な症状の出方では、賠償されることはまず無いのです。といっても、分かりやすいガンや白血病に対してさえ、政府・東電は逃げ切る気満々ですが。

外部被曝と内部被曝については散々書いてきたので端折りますが、放射性物質は放射線を放ち、細胞や遺伝子を傷つけます。これは確率のハナシではありません。取り込んだ量によって程度の違いはあれ、被曝した人は「確実に」体を傷つけられるのです。

もちろん人間が元々持つ細胞の修復力はあります。でも、修復されるにせよ、1度は傷つけられたという事実は変わりません。そしてDNAの2本の鎖が同時に損傷されると、復元能力を失います。

そして、個人の感受性の違いがあるので、同じ被曝量でも同じ症状が出るとは限りません。(こうした放射能の特性を政府や電力会社が熟知していることが、一番腹が立ちます)

何が言いたいかというと、「確率的」という言葉に惑わされて、ある特定の人数だけに健康障害が出るのだろうと考えてはいけない、ということです。放射能をルーレットや富くじ(貧乏くじ?)のようなものと捉えるのは間違いなのです。私もいままで、そう考えていたフシがあります。

被曝した分だけ確実に何かしらの影響が出る、と考えるのが、正しい思考なのだと思います。ただ、それがストレスになって、病気になってしまっては元も子も無いのですが……。

*   *   *

最近、関東以北での体調不良や急死のニュースを多く見かけます。その内のどれだけが放射能の影響なのかは分かりません。が、もし亡くなった人が汚染された空気を吸い、食品を食べていたのなら、その死と放射能は、完全に無関係と切り捨てることはできないのではないか。福島由来の放射能により、多少なりとも、細胞・遺伝子が傷つけられたことは事実なのですから。

ちょっと前に、インターネットのどこかで「風評被害の対義語は予防原則である」と書かれていました。まさにその通りだと思います。

予防原則を徹底すること、根拠も無く自分だけは大丈夫と思い込まないこと。これが、放射能と戦う上での唯一の方法なのです

0 件のコメント:

コメントを投稿