2011年10月31日月曜日

映画『インサイダー』を観て

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

なんというか、言いたいことを文章にする能力の無さに絶望しているので、クダクダと書きます。脳の欠陥とは一生付き合っていかなくてはいけません。

震災後のストレスから、やめていたタバコに手を出してしまったのですが、半年ぶりに再び卒煙を開始。1ヶ月ほど経ちました。

チャンピックスという禁煙補助薬と、ハビトロールというニコチンガムを個人輸入(安いので)して、やめました。

前にやめた時に、だいたい手順が分かっていたので、今回はまったく苦労はありませんでした。吸いたい欲求もまったくありません。

チャンピックスは本当は3ヶ月服用するのですが、眠気などの副作用があるので、2週間程度にしました。ハビトロールだけはなかなかやめられないですが、これは仕方が無い。もう禁煙に関しては、かなりのベテランです。

で、タバコをやめてから観ようと思っていた映画『インサイダー』をiTunes Storeでレンタルして観ました。マイケル・マン監督、1999年に公開された映画です。観たことのある人も多いと思います。

これは、アメリカのタバコ産業の不正を告発しようとするタバコ会社の元重役(ラッセル・クロウ)と、告発を報道しようとするニュース番組のプロデューサー(アル・パチーノ)の話で、多少の脚色があるものの、大部分が実話に基づいているとのことです。

キャストの演技も映像も脚本も、文句無しの完成度で、素晴らしかった。観る価値のある映画です。

国を揺るがすほどの大きな隠蔽と、それをもみ消そうとする巨大な利権が描かれていて、日本の現状と重なるものでした。国策に近い巨大産業、報道の腐敗、世論の馬鹿さ加減などなど。

この映画の中で印象に残ったのは、アル・パチーノが窮地に立たされてヤケクソになりかけたときに、その奥さんが言った言葉です。

「先を見通して行動するのよ」

なぜこの言葉が印象に残ったのか、うまく説明できませんが、おそらくは、社会で“タフ”に“真っ当”に生きるためには、先を見通して行動することが求められる、ということに感銘を受けたからだと思います。

正直であれば良い、とか、人の気持ちに立って考える、とかではなく、「先を見通して行動する」ことが重要なのです。

といっても私はアル・パチーノほど、タフに立ち回ることはできません。タフに生きられるのはショートスリーパーだけ。10時間以上も眠ることのできる私は、到底ムリです。

それにしても、この映画を観ると、日本もアメリカもたいして変わらないなあ、とも思いました。「どんなものも90%はカスである」というスタージョンの法則は、普遍の真理なのかも。だいたいスタージョンはアメリカ人だし。

ちなみに「先の見通し」ということで言えば、今回の震災での私の見通しは現実とまったく違うものでした。原発が爆発したことで、もっと大騒ぎになると思ったし、放射能に対して人々はもっと拒否反応を示すと考えていました。私は自分の感覚を、他の人たちにも当てはめて考えていたのです。(追記:ただ、物理的な状況に関しては、残念なことに、私の想定を大きく外れてはいません)

クダクダと書きましたが、まあ、先を見通すってのは難しいってことです。

(参考)
国産タバコは危険です。(1年後から?)

2011年10月28日金曜日

チェルノブイリの健康被害

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
忘れてる人が多そうなので、最も基本的なことを。

今年3月に日本で原子力発電所の原子炉が4基(2号機を抜くと3基)が爆発しました。これにより、広範囲に渡って、膨大な量の放射性物質がばらまかれました。

これで何ひとつ健康被害が出ないのなら、放射能は安全だと言うことです。もし、東大の学者の言うように、1μSv/hでも安全、年間100mSvでも安全であるのなら、原発を都市部から離れた辺境に建てる理由は無いし、レントゲン室を鉛のドアで遮蔽する必要も無い。

それに、年間1mSvという厳しい被曝制限を設ける必要も無かったはずです。放射能は体に良いと言っている人までいるのですから、むしろ、積極的に放射能を環境中に出せば良いはずです。

*   *   *

明日に向かってできることというブログに、チェルノブイリ事故における健康被害の様子が時系列にまとめられていました。

チェルノブイリ事故発生から25年間の健康被害まとめ
http://koujichin.blog.fc2.com/blog-entry-7.html

原発作業員(リグビダートル)の急性障害から、妊娠異常、チェルノブイリ2世への影響まで、25年経った今でも、被害は続いています。

*   *   *

上のブログでも紹介されていたのですが、チェルノブイリへのかけはしという活動のブログに、チェルノブイリでの健康被害の症例が挙げられていました。ガンや白血病の他にも、ありとあらゆる健康被害が出ています。

チェルノブイリ症候群
http://www.kakehashi.or.jp/?p=4475

(一部引用)

1)頭:頭痛、めまい、ぼうっとする、考えがまとまらない、ハイになる、うつになる、計算ができなくなる、多動様、二世においては少し知性に異常がでる、ノイローゼ、てんかん

2)粘膜:目、鼻、口、喉、声帯、性器関連の炎症が繰り返される。目は子供にも白内障がのちのち増える、声帯が痛んで声がでなくなる。くりかえしおよび多発する口内炎。鼻:線量の高い低いにかかわらず、子供大人にかかわらず出る鼻血、あるいは異常な色の鼻水。歯茎からの出血。虫歯の悪化。

3)肺:咳、色のついたタンが止まらない。カラ咳。風邪と違う。あるいは繰り返す風邪。風邪が治らず気管支炎、肺炎と繰り返して入退院するようになる。喘息になる。子供は特に肺炎にかかりやすくなる。

4)胃腸:下痢あるいは軟便が長期にわたり続く。胃の上部がしまった感じで食べ物が入って行かない、食欲が無い、吐き気、嘔吐、揚げ物がむかつく、量が食べられなくなる。胃がいたくなる。

5)疲労感:突然襲ってくる、身体がだるいことが続く、眠くて仕方がない、立ってられない、子供の場合はゴロゴロしている。今まで感じたことのないだるさ。→原爆ぶらぶら病にとてもよく似ている

6)脱毛:徐々に抜ける場合もある

7)腎臓:夜中に腰の上あたり、腎臓のあたりが激痛が走るようになる。押すと少し楽になるが、ときどき起こる。腎臓炎、膀胱炎など。おねしょ。

8)耳:中耳炎を繰り返すようになる

9)皮膚:アレルギー症状の悪化、手の皮が向ける、傷が治りにくい、ヘルペス。皮膚が弱くなる。

10)心臓:大人も子供も心臓が痛くなる、病院に行って心電図をとってもらうが異常がでない。夜中に踏まれたように胸が痛くなる。血圧異常が大人にも子供にも起こる。息が切れるようになる。パタンと倒れる。老若にかかわらず突然死。

11)関節痛、あるいは骨の痛み、骨の異常

12)生理不順、出血異常。女性器に関するトラブル。乳がんなどの増加

13)甲状腺の異常、腫れ

14)リンパ節の腫れ、特に首や脇の下

15)その他:発熱など、神経反応の異常、ホルモンの異常、内分びつの異常、

16)出産の異常、分娩の異常、出生率と死亡率の逆転(汚染地域)

*   *   *

4月中旬に、菅首相はチェルノブイリの被害者が50人程度だと発表しました。これを信じられる人は何人いるのでしょうか。

チェルノブイリの被害者は50人足らず?
http://mononomikata-kerogg.blogspot.com/2011/04/50.html

2011年10月26日水曜日

内部被曝測定、現在のベクレル数だけ見てもしょうがないんじゃないの?

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
小中学生の体内から少量のセシウム 福島・南相馬で検出
http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY201110240656.html

福島県南相馬市の市立総合病院は、9月下旬から検査した市内の小中学生の半数から少量の放射性セシウム137が検出されたことを明らかにした。事故直後に呼吸で取り込んだものか、事故後に飲食物を通じて取り続けたものか不明のため、病院の責任者は「定期的に調べて健康管理につなげたい」と話している。

小中学生527人を最新の内部被曝(ひばく)測定装置で調べたところ、199人から体重1キロあたり10ベクレル未満、65人から同10~20ベクレル未満、3人から同20~30ベクレル未満、1人から同30~35ベクレル未満のセシウム137を検出した。

セシウム137が半分になるまでは約30年かかるが、体からは便などとともに排出されるため、大人で100日程度、新陳代謝が高い小学校低学年生で30日程度で半分が出ていく

*   *   *

この子たちが一番多く被曝したのは、3月です。

被曝した当時から、放射性物質が体から排出されて、さらに排出されて、どんどん無くなっていって、で、上の数字ということです。

上の記事には「小学校低学年生で30日程度で半分が出ていく」とあります。ということは、6ヶ月後には、0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5=0.015625に減少しているということか?

そうなると、食べ物からの被曝もあるので全部とは言いませんが、大半が事故直後に取り込んだものだとしたら、今、計測された数字は、元の量の2%未満ということになります。2%で計算すると元の量は50倍。

つまり、10Bq/kgの子は、500Bq/kg、35Bq/kgの子は1750Bq/kgのセシウム137を体内に入れていたという計算になる。

しかもこの数字はセシウム137のみの数字です。恐ろしいヨウ素131なんて、もう全部、放射線を出し切っていて体内には残っていません。これは計測する方法が無い。

今回の福島原発由来の放射能核種の割合は、次のように推定されています。セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム239の順に、100:100:50:0.5。

つまり、セシウム137と同量のセシウム134、半分のストロンチウム90、そして5%のプルトニウム239を体に取り込んでしまっている恐れがあるということです。

計測で10Bq/kgが出た子で計算すると、

セシウム134    →500Bq/kg
セシウム137    →500Bq/kg
ストロンチウム90 →250Bq/kg
プルトニウム239  →25Bq/kg
ヨウ素131     →不明

この数字について、政府付きの放射線防護の専門家は、どう考えているのか。もしかして今の数字だけ記録して、推測される元数字は「無い」ことにしようとしてるんじゃないのか?

あくまで素人の計算なので、間違っている点があればご指摘ください。

ドイツのテレビ放送に見る、南相馬の日常とブラックなニュース

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

福島原発から20kmの南相馬に生きる人たちの日常。
内容についてはしんどくなるのでノーコメント。

あと、ドイツはブラックジョークな番組も作っています。


こちらは4月1日に放送とのこと。早い!
笑いとして言っていることが、ことごとく真っ当であるのが泣ける。

2011年10月22日土曜日

魚から放射能、すべての食品にベクレル表示を!

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
NGOのグリーンピースが、大手スーパーマーケットに流通している魚の放射能検査を行いました。

*   *   *

食品放射能調査 第1回目:秋のお魚調査
http://www.greenpeace.org/japan/ja/earthquake/monitoring/fss1/

(一部引用)

大手スーパー5社で調査を行ったところ、暫定規制値は超えないものの、放射能汚染された商品が広く販売されていたことを確認しました。

放射能測定室 シルベク 食品放射能調査
第1回目:秋のお魚調査
(スーパーマーケットで売られている魚介類の放射線値検査)

調査結果まとめ

一般に販売されている魚介類に放射能汚染された商品が幅広く混入していることを確認。
(全60サンプル中34サンプルから放射性物質を検出)

商品の外見や表示(ラベルなど)からは汚染度合いを見分けることができず、消費者が知らないうちに汚染された魚介類を口にしている可能性が高い。

暫定規制値を超える魚介類は今回の調査では検出なし。

汚染度合いが最も高かったのはユニーで購入したワカサギ(茨城県産)で88Bq/kg。
特定のスーパーではなく、調査対象の全てのスーパーから、汚染された魚介類商品が検出された(サンプル数は各社公平に12個ずつ購入)。

ブリ(岩手産)、カツオ(宮城産)、マイワシ(千葉産)など季節の魚で広く流通されているものから汚染が確認された。

ただしサンマやサケ(秋鮭)からは汚染が確認されず、海藻の商品からも検出がなかった(サンプルは季節の魚を中心に購入)。

今回の調査で明らかになった魚介類の放射能汚染は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に依るものです。

また流通規制の強化や食品安全の保障は、本来であれば企業ではなく政府が早急に行うべきことです。

グリーンピースは政府に対し迅速かつ適切な対応を要請していますが、依然として東京電力による情報開示は未だ満足に進まず、政府の対応もきわめて遅いままです。

そうしているうちにも大量の魚介類が広く流通され、私たち消費者の口に入ってしまっています。

この現状で、魚介類消費における安心確保に最も敏感に動き出せるのは、流通経路の中で消費者に一番近い位置にある大手スーパーマーケットです。

*   *   *

詳細な結果はリンク先で確認してください。

全60サンプル中34サンプルから放射性物質を検出したという結果。暫定基準値を超えるものは無く、最大値は茨城産ワカサギの88Bq/kgだったということです。

この値が、今後、どの程度の影響を及ぼすのかは、分かりません。

チェルノブイリ周辺では、野生のキノコや動物を、検査無しに摂取している人が多かったようです。それに比べれば、サンプル調査の上で流通している日本の食環境はまだマシと言えます。(逆に言うと、東北・関東の流通に乗っていないキノコや動物は口にしちゃ駄目、絶対。ということです)

ただ、確率的影響というのは、集団の中に一定数現れるものなので、放射性物質を摂取した人の中で運の悪い人は、なんらかの健康被害に見舞われます。

グリーンピースは大手スーパーに対して、

・暫定規制値よりも厳しい独自の流通基準の策定
・自主測定の実施
・漁獲海域及びベクレル数値の消費者への公表

を呼びかけています。

半年経ってもまったく動こうとしない国なんかをアテにしてもしょうがない。市場原理の働く、民間のチカラでなんとかしないといけないのです。

私は、スーパー、魚介だけでなく、外食産業、加工食品を含むすべての食品に対して、ベクレル表示がされるべきだと考えています。

グリーンピース「お魚ツイートプロジェクト」
http://www.greenpeace.org/japan/sakana/
この活動を応援したいTwitterユーザーはフォローを。

熊本、宮崎、鹿児島、福岡市、汚染ガレキを拒否

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
震災がれき 九州3県受け入れゼロ
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/269605

(一部引用)
東日本大震災の被災地のがれきなど災害廃棄物の受け入れについて、九州7県では熊本、宮崎、鹿児島の3県が環境省に対し、受け入れを検討する市町村や一部事務組合はないと回答したことが21日分かった。

福岡市が震災がれき拒否回答 県に「安全性保証できず」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/269248

(一部引用)
福岡市16 件は19日、東日本大震災の被災地で発生したがれき16 件の受け入れについて「市内に放射性物質を処理できる設備がなく、自然環境への影響などを考えると安全性が保証できない」として、拒否することを福岡県に回答した。県は21日、同市の回答を環境省に伝える。

*   *   *

熊本、宮崎、鹿児島、そして福岡市の英断に拍手。

福岡市長の髙島宗一郎さんについては、よく知らないですが、とにかく30代後半ととても若い。若さだけで良しとは言えませんが、少なくとも、老い先短い利権まみれの老害よりは、今後の日本について考えているはずです。

だいたい、放射性物質を処理する設備なんてものは、全国の廃棄物処理施設にあるはずがない。というか、福1周辺にこそ、早急に作らなければいけないものです。

東北が汚されてしまった今、九州と北海道は、日本の食環境の命綱になります。この土地を守らなければ、この国は終了するでしょう。

そして! 汚染されていない土地に住む人は、自治体にはっきりと「ガレキを入れるな」と伝えましょう。電話でもメールでもFAXでも。自治体は国よりも市民の声を聞いてくれます。

2011年10月20日木曜日

産地偽装の現場5

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
クリックで拡大

拾いものです。週刊誌の記事かな?

キャプション「福島県内の大型ホームセンターでは、栃木県の農協の検印が押された空き袋が堂々と売られている」

よく見ると、22年度と表記されていますね。というか、検印まで偽装されたら、手も足も出ない。とても悪質だと思います。まさか、九州産の袋は無いよね!?

こんなに堂々と売られているということは、店のスタッフにも客にも文句を言う人がいないということ? この売場に通りかかった客は、どう思っているんでしょう。

「フーヒョー被害があるから、ちょっとぐらいの偽装は仕方ない」とか言いそうで怖い。彼らは、この袋に入った米をスーパーで見かけたら、買うんですかね?

新米!宮崎県産ひのひ...
新米!宮崎県産ひのひ...
価格:2,380円(税込、送料別)

2011年10月17日月曜日

脱力しつつ、ニュースいくつか

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

ブログの更新が少なくなってきた今日この頃。いろいろ忙しいこともあるのですが、どうも原発関連のことを考えるのがダルい。最近、福岡とは言え、ちゃんと確かめずに定食とか食べちゃってるし。気分は北斗の拳のゲイラ様です。

「あきらめた人から死んでいった」とは、チェルノブイリに伝わる格言です。

*   *   *

世田谷の2.7μSv/hは、家屋の床下から怪しげなビンが取り出されて、一件落着のようですね。でも、それに続いて、世田谷レベル、もしくはそれ以上の高線量があちこちで検出されているのですが、こちらはさっぱり大手メディアは取り上げません。世田谷はあれだけ騒いだのに不思議ですねー(棒)。

(要約)
葛飾区の56カ所で1μSv/h以上、そのうち8カ所から3μSv/h超え。

そして、横浜の方でストロンチウムが検出されたとのこと。これはかなり宜しくないニュースですね。

(要約)
マンション屋上の堆積(たいせき)物から、ストロンチウムが195ベクレル検出。

東京・足立区の小学校、高い放射線量を検出
(要約)
足立区の小学校で、毎時3・99マイクロ・シーベルトの放射線量を検出。

どれも、とんでもないニュースなのに、その大変さがいまいち感じられないのが正直なところ。世田谷のガス抜き効果もあって、体に力が入りません。こうやってインパクトを操作することで、国民を懐柔する手練れには舌を巻きます。伊達に広告を牛耳ってきたわけじゃないね。

*   *   *

(要約)
ウラジーミル・バベンコ氏「37ベクレルでも子どもに与えるには高すぎる。ゼロに近づけるべきだ」と指摘した。

このニュースはNHKの「あさいち」も取り上げたようですが、内容は酷かったみたいです。

*   *   *

で、ワン・モア・シング。

(要約)
炉心が1基でも再び損傷する確率は、5000年に1回程度と、東電が試算。

事故後、政府や学者が言っていたことを思い出します。
「炉心溶融は“絶対に”起こらない」

*   *   *

そりゃ、脱力もしますよね。
明日は東京に1泊予定。

2011年10月16日日曜日

原発30km圏のルポルタージュ

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
「薔薇、または陽だまりの猫」というブログに、朝日新聞で連載されているルポルタージュ記事の文字起こしがありました。前田基行さんという記者が書いているもので、現在も連載は続いています。数ヶ月の長期連載になるようです。下のブログでは、その第一シリーズ「防護服の男」を読むことができます。

原発が爆発した日から、30km圏内にいた人が感じたことや、情報の無い中での行動などが、生々しく描かれています。そのとき、政府が何をして、何をしなかったのか。枝野官房長官の発言、SPEEDIの隠蔽、福島県知事のしたこと。

これらは遠い国の話ではありません。未だ何も解決していないのです。

薔薇、または陽だまりの猫
〈プロメテウスの罠〉防護服の男(1)~(12)

2011年10月13日木曜日

世田谷は原発事故と関係なく3μSv/hオーバー!?

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
民家の床下のびんが原因=東京都世田谷区の高放射線量
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111013-00001038-yom-soci

東京都世田谷区の区道で高い放射線量が検出された問題で、同区は13日、隣接する民家の床下にあるびんが原因とみられると発表した。原発事故との関係はほぼないという。

*   *   *

再計測で3μSv/hオーバーを記録した世田谷区の歩道ですが、
原発事故と関係なしに、民家の床下に高濃度の放射性物質が隠されていたとは!
これは思いつきませんでした。

つーか、こんなことあり得るのか? テロリストの隠れ家とか?
いったいビンに何が入っていたのか?

あと「ほぼ」っていうのが意味不明です。

*   *   *

となると、これらの記事も、原発とはほぼ関係ないのでしょうか?
つーか「比較的高い」とかおっしゃってますけど、0.6μSv/hで放射線管理区域ですからね! 何度も言ってますが!

東京・北区 比較的高い放射線量
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111013/k10013242451000.html
1.01μSv/h

千葉・船橋 比較的高い放射線量
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111013/k10013243041000.html
1.55μSv/h

軽井沢 比較的高い放射線量
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111013/k10013223331000.html
1.7μSv/h

続報を待ちたい。

2011年10月12日水曜日

マイクロホットスポットに注意

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
世田谷区の道路で高い放射線量
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111012/t10013213371000.html

(一部引用)

今月初め、東京・世田谷区の区道で1時間当たり最大で2.7マイクロシーベルトという高い放射線量が検出され、世田谷区は、この場所に立ち入らないよう呼びかけるとともに今後の除染を検討しています。

高い放射線量が検出されたのは、世田谷区弦巻の区道の歩道部分です。世田谷区によりますと、今月3日、区民から「放射線量が高い場所がある」という情報が寄せられたため、区が測定したところ、1時間当たり最大でおよそ2.8マイクロシーベルトと周辺に比べて高い放射線が検出されたということです。このため高圧の洗浄器を使って歩道部分の洗浄を行いましたが、放射線量はあまり下がらず、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベルトが検出されたということです。原因について世田谷区が専門家に聞いたところ、問題の場所は雨水が集まって放射線量が高くなったことが考えられるということです。

*   *   *

2.7μSv/hというのは、びっくりするほど高い数字ですが、ちょっとだけ良かったのは、高圧洗浄機でも放射線量が下がらなかったということ。つまり、放射性物質はコンクリなどに沈着し、固定されているのではないかと考えられます。(追記:未確認ですが、地上5cmよりも地上1mの方が高い数値が出たとのこと。ということは、付近の樹木などが汚染されている可能性もあります)

もし、高圧洗浄機をかけて放射線量が下がるとなれば、放射性物質が塵芥として存在していることになり、余計に危険だと考えられます。汚染された歩道部分を取り除けば、放射線量は下がるはずです。もちろんその廃棄物は福島第一原発の敷地に戻せば良い。

以前、巣鴨の道路脇の砂塵などでもかなり高い線量が検出されたことがあります。こうしたマイクロホットスポットは、どれだけの数かは分かりませんが、各地に存在していると思います。

今回、この世田谷のマイクロホットスポットが判明したのは区民からの情報があったからということです。放射線測定器を持っている人で、もし高線量の場所を見つけたら、役所に通報しましょう。役所が動かなければ、ネットで呼びかけるなり、フリージャーナリストに訴えるなりしましょう。

追記 2011/10/12 22:40

横浜でも約1μSv/hのマイクロホットスポットが発見されました。災害から7ヶ月経ち、首都圏の航空機モニタリングの公表後に、こうしたニュースが出始めたというのが、怪しいですね。資産を売り抜けたか、もっと悪いニュースがあるのか……?

基準超えの放射線量を検出、横浜市南区の市立小学校で/神奈川
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1110120026/

*   *   *

ところで、少し前に、ガイガーカウンタをもう1台購入しました。RADEXが湿気で0.00になるという記事を以前書きましたが、湿気なんて関係なく、0.00を表示する頻度が高くなってしまったのです。

正確な数値はRadiを参考にすれば良いのですが、これはアラーム機能が無いので、ポケットに入れたまま、知らずに上のようなマイクロホットスポットに入っても気付けないのです。


なので、アラーム機能の付いたものを持っておこうと思い、SOEKSというモデルを選びました。これはRD1503と同タイプのガイガー管を搭載しています。精度はRDと同じようなもので、0.2μSv/h以下は、不安定でまったくアテになりません。でも線量が高くなるにつれて正確な数値に近づくはずです。アラーム代わりに持っておくにはちょうど良いかと。

そして安物なので、特性を知った上で使わないといけません。誤表示も多く、一定の割合で音が鳴ってしまうバグがあります。最初は焦りました。電池の減りも早いので、私はエネループで使っています。

2ちゃんねるの緊急自然災害板にSOEKSスレッドがあるので、もし買う人は参考にしてみてください。

【ガイガーカウンター】SOEKS★9
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/lifeline/1317884114/l50

私が買ったショップは下のリンクです。同じSOEKSでもバージョンがありまして、下の店では最新バージョンの「1.CL」を13800円(送料1500円)で買えます。今のところ、ここが一番安かったです。

2011年10月9日日曜日

科学者と似非科学者を見極める

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
知ってる人も多いと思いますが、ちょっと科学の歴史について。

アルキメデス、コペルニクス、ガリレイ、ファラデー、ニュートンなど、人類の歴史には偉大な科学者がたくさんいます。でも実は、科学という概念が成立したのは、20世紀に入ってからなのです。

古代ギリシアの頃から17世紀頃まで、いわゆる科学的な研究は、すべて哲学の範疇とされてきました。およそ知的な営みは、すべてフィロソフィア、つまり哲学ないし芸術であったのです。

やがて17世紀頃から、より精密性を増した実験手法が用いられるようになり、18~19世紀頃になると、やっと現代の意味での「科学」という言葉が使われ始めました。でも、何が科学で何が科学でないか、という線引きは曖昧なままでした。

そして1934年、カール・ポパーという哲学者が『科学的発見の論理』という書を発表します。この本が、科学と非科学の違いを明確にしたのです。人類史から見れば、ついこないだの出来事です。

この書で、ポパーが提唱したのは「反証可能性」です。

これはWikiによると「検証されようとしている仮説が実験や観察によって反証される可能性があることを意味する」とされています。また平易な意味では「どのような手段によっても間違っている事を示す方法が無い仮説は科学ではない」(科学が覆されるのは科学のみ)と説明される、とあります。

つまり、すべての科学的理論は仮説であり、常に、将来的に反証される可能性を持つ、ということです。

実際、長らく科学の基礎となってきたニュートンの万有引力はアインシュタインの相対性理論によって覆され、さらに現在では、量子力学の登場によって統一場理論が予想されています。このように、次々と仮説が塗り替えられているのです。

*   *   *

この反証可能性が、万能ということではありません。現在も「科学の定義」に関して、さまざまな議論が交わされているようです。でも私は、この科学史に残るテーゼは、我々にとって非常に有用であると思っています。この「反証可能性」に対する態度を見れば、本物の科学者と偽物の科学者を見極めることができるからです。

原発事故が起こった世界では、この反証可能性を前提にして、識者と呼ばれる人たちの発言を見なくてはいけないのです。

そうやって世の中を見回してみると、いかに科学的でない識者の多いことか! ということが分かります。

別に例を挙げたくもないのですが、どこかの似非科学者が「ニコニコしていれば放射能の影響は出ない」とか言ってましたよね? 原発事故以来、こんな感じのオカルティックな自称科学者がぞろぞろと出てきました。

オカルト的な発言だけが非科学的ということでもありません。データが出揃っていないなかで「断言」すること自体が、典型的な非科学態度です。科学理論が仮説であるという基礎を忘れ、科学的慎重さのカケラもないような発言がそこかしこに見られます。

私がたびたび武田教授の言を取り上げているのは、武田氏が「科学」を意識した姿勢でいるからです。武田教授のブログを読んでみて下さい。必ず、考えの基となった前提を挙げて、結論を述べています。また「推論である」ことや「便宜的に考えた上で」などの注記事項も必ず付け加えられています。

大きな展開をするべき時・・・10人の子供と科学的な考え方
http://takedanet.com/2011/10/10_c462.html

(一部引用)
「何ミリまで大丈夫だ」というのは現在の状態で科学が言うことではありません.科学は「判らないときには判らないという」ということです。また科学技術が原因して被害を出しそうな時には、それを極力、小さくするのに努力しなければなりません。政府は現実を見て科学者や医師に反することをするかも知れませんが、それを予想して科学者や医師事態が被害を増大させるのは科学ではありません。

児玉教授も同様です。児玉氏は、この動画でヨウ素131と甲状腺ガンの因果関係を統計学的に証明することの困難を説いています(動画9:30あたりから)。

こうした言葉がなぜ心を打つのか。そこに科学への誠実さがあるからです。

といっても、彼らが言っている細かな数値や地域についてなどは、やはり検証される必要があると思いますし、また彼らの語ることすべてが正しいとも思っていません。ですが、少なくとも、彼らの言葉は耳を傾ける価値があると思っています。

予測や計算は誰だって間違えることがあるでしょう。でも、言葉や行動には科学への誠実さが正直に現れるのです。

「誰が科学者で誰が科学者でないか」
どのデータが正しいのかを考える前に、これを見るべきなのです。

*   *   *

誤解無きよう書きますが、私は、科学至上主義者ではありません。科学的に解明できないことは、世の中にたくさんあると思っていますし、東洋的な思想にも多分に共感するところがあり、むしろ、科学よりもそっちの方に興味があります。

2011年10月8日土曜日

東京の本当のベクレルは?

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
航空機モニタリングの結果を見ると、東京は居住可能っぽい、と前エントリで書きましたが、んー、こういうデータもあったりするんですよねー。

首都圏土壌調査結果
https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/dojyou1.pdf

これによると、都内でも、チェルノブイリの放射線管理区域にあたる37000Bq/m2オーバーの場所が多くあります。まあ、大体が東側・北側の地区っぽいですが。

アスファルトと、土の庭や植え込みでは、放射性物質の沈着度がまったく異なります。軌跡幅3kmで計測するおおざっぱな航空機モニタリングでは、きめ細かな計測はできない、と考えるのが真っ当な気がする。

逆に考えると、土の無い場所は比較的汚染は薄まってるとも考えられる。心配な人は、家の近所の土を直接検査に出すのが一番てっとり早いかもしれません。

いずれにせよ、食品と同じで、それぞれが許容範囲の線引きをする必要があります。

2011年10月7日金曜日

東京都の航空機モニタリング(非汚染地域の表示ナシ)

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
クリックで拡大

やっと、東京都、神奈川県の航空機モニタリングが出ました。

この結果を見ると、やはり15日の放射性プルームのルートは、東京を素通りして、奥多摩にちょっと引っかかりつつ、群馬の方に流れたことが分かります。そして21日には東の方で多く沈着した、と。また、アスファルトの多い都市部は、雨によって流されやすいことも考えられます。

薄茶色の区域は10000bq/m2以下とあります。チェルノブイリでの放射能管理が必要なゾーンは37000〜180000bq/m2なので、大部分はそれ以下です。

この結果を見ると、現状、東京都の大部分は居住可能ではありそうです。地表からの外部被曝よりも、食べ物による被曝の方が影響は大きいと思います。

ただし、この地図はセシウム134とセシウム137のみを計測したものだということです。事故直後に放出されたヨウ素131はすでに半減期を大きく超えているので測定できません。またプルトニウムやストロンチウムがどれだけあるのかも不明なままです。

3月中旬に都内にいた人は、15日の放射能プルーム、そして21日からの雨によって、多少なりとも被曝しています。このときに、どれだけ体内に取り込んでしまったかで、今後の影響も変わってくると思われます。この影響は今後、確率的影響として現れます。

あのとき、政府は、マスク着用とヨウ素剤の配布、無用な外出を避けるようにアナウンスするべきでした。実際は、安全だ、爆発はしない、メルトダウンはしない、と嘘ばかりついていたのです。

それにしても、原発が一旦、爆発してしまうと、これだけ広範囲に放射能で汚染されてしまうのです。別に難しい話を考えなくても、この現実を見れば、原発は動かせないことは一目瞭然だと思うのですが、いまだに原発が必要だと言う人がいることが信じられません。

*   *   *

追記:2011/10/10 0:00

ところで、上の地図で、何か違和感を感じていたのですが、それが分かりました。

旧ソ連が'88年に設定した基準によると、1850Bq/kg以下の地域を「非汚染区域」としていたとのことです。

そう! この地図には、非汚染地域の表示が無い!

日本の非汚染基準は10000bq/m2以下なんですか? もしそうなら、全国のみならず、全世界が薄茶色になってしまう。これはおかしいでしょう?

非汚染基準を設定して、もう一層分付け加えるべきです。
本当はもっと細かく設定して欲しいところですけれど!

2011年10月6日木曜日

産地を聞くと不機嫌になる食品メーカーってどうなの?

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
福岡には地元の食材を使ったお店も多く、外食もたまにしていますが、初めて行く店には一度電話をして食材を確かめています。で、たまには美味しいケーキでも食べたいと思い、ネットで調べると、福岡・天神に有名なチーズケーキがありました。

その店に電話したところ、チーズはフランス産、牛乳は熊本産などなど、大体の食材が大丈夫っぽく、すごく親切に教えてくれました。ただ一点、生クリームの産地が分からないとのこと。なのでメーカーを教えてもらい、メーカーに電話しました。

そこは○○フーズという、東京に本社のある大手生クリームメーカーでした。小売りのものはほとんどが北海道産と教えてくれました。「ほとんど」という言い方がちょっと引っかかりましたが、まあ良し。

「ケーキ屋さんに聞いたのでたぶん業務用だと思うんですけど」と言うと、業務用は小売り用とは産地が異なります、産地はいろいろなので分かりませんと言われました。具体的な地域を聞こうとしたのですが、話しているうちに、その担当者が不機嫌になってきました。とにかく全国の原料を使っているので分かりません! と。

なので、残念ながら話を打ち切りました。食品メーカーで、産地を聞くと、不機嫌になる人がたまにいます。産地を聞くのって失礼なことでしょうか? もし、放射能の心配が無かったら、別に不機嫌にならずに、どうどうと答えられるんじゃないの?

この話のポイントは、小売りと業務用で産地が異なる、ということです。前から書いていますが、怪しい食材は、産地を表示する必要のない加工食品と外食に回される可能性が高いのです。

というわけで、チーズケーキは食べずじまい。まあ、それぐらいは、という線引きは、各々あると思いますが、私はあくまでベクレルフリーを目指しています。

だからチーズケーキは、今度、自分で作ります。外食で美味しいものを食べ放題の時代は終わったんだなあと、しみじみ思いました。食べたいものは自分で作る時代なのです。暫定基準値が見直されるまで、もしくは、すべての食品にベクレル表示がされ、その偽装に対して厳しい罰則が設けられるまでは。

ちなみに、東京では六本木に一軒、安全食材にこだわっている居酒屋さんがあります。すべての食材の産地をHPで公表し、毎日更新しています。ちょっと前に一度行きました。さぞかし行列ができてるだろうと、予約して行ったのですが、着いてみると、それほど混んでなかった。

都内を歩いていても、レストラン、居酒屋など普通に繁盛してますね。まあこれは福岡でも大阪でもどこでも同じです。スーパーでは産地確認しても、外食になると、みんな気にせず食べているのかなあ。

2011年10月3日月曜日

エポケーの必要性

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
1.
すべてのカラスは鳥である。
鳥は羽根を持っている。
ゆえに、カラスは空を飛べる。

2.
すべての猫はキリンである。
キリンは罪深い。
ゆえに、猫は罪深い。

1と2、論理的に成り立っているのはどちらでしょうか。
アリストテレスの三段論法。論理学の最も基本的な構造です。

*   *   *

事故から半年経ち「放射能は危険か安全か」という議論がされています。
で、各々、どっち派が正しいのかでもめているようです。
0か100か。善か悪か。勝ち組か負け組か。

論理的な結論を得るためには、しっかりと前提を見なくてはいけません。この基本的な論理構造を理解していない人が多すぎると思います。

これは危険派にも安全派にも言えることです。

私はこのブログで何度も言ってますが、もろもろ含めて、今、何が一番問題なのかというと「放射能の影響がどの程度出るのか、現時点では分からない」ことだと言っているわけです。

で、現時点で分かっている前提を書き出してみます。

前提1. 福島第一原発の事故によって、福島県を中心に放射性物質がばらまかれた。

前提2. この事故が起こる前は、自然放射線を抜いた年間の被曝限度は1mSvだった。

前提3. 事故が起こってから、政府は食品に含まれる放射性物質の基準を大幅に上げた。

前提4. 現在も0.6μSv/h以上の場所は放射線管理区域として指定されている。

これらは明快な事実です。
ここから導き出される論理的な結論は以下になります。

結論1. 事故以前と同じ基準で食品を食べたいなら、現在の暫定基準値は容認できない。なので食べ物は自分で気をつけるしかない。

結論2. 法定上の放射線管理区域に住みたくないのなら、0.6μSv/h以上の場所に住んでいる人は、移動するべきである。

こんなもんです。非常にシンプル。
この結論の大事なところは「実際に健康被害が出るか、出ないか、といったことは関係がない」ということです。

分からないことは分からないこととして、エポケー(思考中断)することが必要なのです。

事故が起こってしまった今、多くの言説や情報にはバイアスがかかっています。そのバイアスを検証していたら時間は足りない。従って、我々が注目するべきは、事故前の情報と照らし合わせることなのです。

100mSv/yでも安全だと言っている学者は、3.11以前からそのことを主張していたのか。もし意見を変えたのなら、なぜ変えたのかという合理的な説明がなくてはならない。

*   *   *

「正しく恐れる」という言葉が、いま巷に溢れているようです。でも、正しく恐れるってなんなんでしょうか?

本日お昼頃に、福島県の子供10人に甲状腺の変化が見られるという報道がされましたが、厳密には放射能との関連性は分かりません。今後、健康被害がどれくらい広がるのかも不明です。

ただひとつ、歴史的に見て予想できることは、政府が放射能の健康被害を認めるにはものすごく長い時間がかかるだろうと言うことです。

(参考)
1970年 政府:有機水銀はただちに健康に問題はない

2004年 政府:メンゴメンゴ、やっぱ死ぬわ

1980年 政府:アスベストはただちに健康に問題はない

2005年 政府:メンゴメンゴ、やっぱ死ぬわ

1985年 政府:薬害エイズはただちに健康に問題はない

2002年 政府:メンゴメンゴ、やっぱ死ぬわ

2011年 政府:放射能はただちに健康に問題はない ←NEW!

20XX年 政府:???

*   *   *

原発事故直後に、CS放送の「ニュースの深層」だったと思うのですが、広瀬隆氏が「今、日本は正しいパニックを起こすべきだ」と発言しているのを見ました。

私がそれをネット上の動画で見たのは、たぶん3月20日頃だったのですが、その発言を聞いて、まさしくその通りだと思いました。でも、なんだろ「正しいパニック」と「正しく恐れる」。何が違うのかな。

とまれ、今はパニックになる必要はありません。「正しさ」よりも「合理的な行動」を模索するべきです。

2011年10月1日土曜日

放射能プルームのルートとタイミング。セシウム汚染マップ

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
クリックで拡大

3月15日〜21日にかけての、汚染ルートとタイミングの最新版が公表されていました。群馬大学、早川由起夫教授の解析です。

これを見ると、大規模ベントもしくは爆発が起こった際、放射性プルームは300km半径に広がることが分かります。特に100km圏は殆どが汚染されています。

こうしたプルームの行方が当日に分かっていれば、屋内退避やマスク着用、シャワーによる除染など、ある程度の対策が取れました。

このときに、政府は何の対策も取らず、「安全だ」「直ちに影響はない」を繰り返し、国民に無用な被曝をさせました。

SPEEDIのデータを公表しなかったこと、自治体が備蓄していたヨウ素剤を配布させなかったことは、間違いなく、傷害罪または殺人罪に当たります。

この被曝の影響が本格的に出るのは、数年後だと言われています。


クリックで拡大

もうひとつ、文科省による航空機モニタリングの汚染マップの最新版も公表されています。上の汚染ルートに沿った結果になっていますが、群馬県が予想外に汚染されていたことに注目です。

ただし、注意点としては、これはセシウム134とセシウム137のみを計測しているということ。プルトニウム、ストロンチウムなどのアルファ核種がどの程度の広がりでフォールアウトしているのかはいまだ不明のままです。

で、東京都の汚染は反映されていません。やっと今月14日から東京都の航空機モニタリングを開始したとのことです。半年間、何をやってきたんでしょうね。

一部では、ブルジョワジーが首都圏の不動産を売り払ってから数値を公表するのでは、と言われています。そろそろ売り抜けた頃かな? とにかく今、東京都内で不動産投資するのは、やめておいた方が良さそうですね。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...