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復興に向けて 首長に聞く 2012年02月29日
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001202290001
(一部引用)
【伊達勝身・岩泉町長】
現場からは納得できないことが多々ある。がれき処理もそうだ。あと2年で片付けるという政府の公約が危ぶまれているというが、無理して早く片付けなくてはいけないんだろうか。山にしておいて10年、20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。
もともと使ってない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか。
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引用した岩手県・岩泉町長の言葉。
まったく一言一句、その通り。
阪神大震災でも東日本大震災とほぼ同量の2000万トンのガレキが出ましたが、神戸と大阪ですべて処理したとのことです(3年で処理完了)。今回、放射能という余計なオマケがありながら、なぜ、わざわざガレキを全国に運び出そうというのか。
まあ普通に考えて、ガレキ処理による利権が絡んでいることと、あとは日本特有の放射能を全員で分かち合おうという意識が働いているんでしょう。
と思ったら、ガレキを東北から沖縄まで運ぼうとしてるし。アホか!
んなもん調べるまでもなく、意味不明、コストの無駄!
沖縄、がれき受け入れ検討 2012.2.28 13:42
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120228/okw12022814310002-n1.htm
(引用)
沖縄県の仲井真弘多知事は28日、岩手、宮城、福島3県の沿岸市町村で生じた震災のがれきの受け入れが、沖縄県内で可能か調べるよう、県庁の関係部署に指示した。県幹部が明らかにした。
仲井真知事は28日、記者団に「焼却炉や輸送コストなど技術的に可能かどうか調査したい」と述べた。野田佳彦首相と会食した26日夜、「調査した上で、可能であれば検討する」と伝えたことも明らかにした。
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なぜ私が、ガレキを拡散することに反対しているかというと、原発災害が起こった地域の物はなるべく動かさない方がいい、という大原則があること。それに加えて、放射能の検査態勢があまりにずさんだからです。
シンチレーションやガイガーなどの計測器で表面線量を測るだけとか、下手するとコンテナの外から測ったりといった具合で、さらに、8000ベクレル/kgというトンデモ基準を設けたうえで、汚染ガレキと非汚染ガレキを混ぜ合わせて薄める、なんてバカげたことも行われています。そんなことでごまかそうとしてばかりだから、もう行政のやることすべてが信用できない状態なのです。
被災地にガレキがたくさんあって、それを処理する必要があることは私も分かってますよ。被災地の人たちが苦しい思いをしてることも分かってます。でも、全国の廃棄物処理施設には、放射性廃棄物を処理するための設備はありません。フィルターだのなんだの取って付けてそれでOK、とはいかないのです。放射能が濃縮された灰やフィルターなどにも対応できる、汚染ガレキ専用の処理施設を、なるべく被災地に近いところに建設するべきなのです。上の町長の言葉にあるように、それが地元の雇用にも繋がります。
食品の基準値だって、ガレキ処理だって、行政が誠実な対応で、やるべきことをやってくれれば、私も反対しません。それが万全の態勢で、どうしても必要ということなら、他県に持っていくのも良いでしょう。ですが、利権と分け前のことしか考えていない官僚と自治体に、そんな誠実な対応は望むべくもありません。もちろん、上の町長のように、まともな首長も少なからずいます。そうした人たちは、国のやり方に異議を唱えているのです。
いちばんやっかいなのは、物知り顔でヒューマニズムを語る大人ぶった人たちです。不都合なことは見ようとせずに、ただ良い顔をしたいばかりで「他県も協力すべきだ」とか言っている人は、もう少し実態を知って欲しいです。
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追記:2012/03/06 18:48
Twitterより
「報道ステーションに抗議電話した。まるで宮城や岩手ががれき広域処理を望んでいるかの様な内容だったが真実は違う!陸前高田市長が地元に瓦礫処理プラントを建設し地元で雇用を増やしたいと申請したが国から無視され怒っている。瓦礫を全国に持って行かないで、と」
★環境総合研究所 池田こみち 副所長
http://p.twpl.jp/show/orig/op613
『被災地に何度も足を運んでいるが、「がれきがあるから復興が進まない」という話は聞かない。被災地では、住宅再建や雇用の確保、原発事故の補償を求める声が圧倒的だ。がれきは津波被害を受けた沿岸部に積まれるケースが多いが、そこに街を再建するかはまだ決まっていない。高台移転には、沿岸部のがれきは全く障害にならない。がれきが復興の妨げになっているかのような論調は、国民に情緒的な圧力を加えているだけだ』
(東京新聞 2012年2月)
★南相馬桜井市長@3月6日 BS11「瓦礫で防潮堤を作りたい。宮城・岩手から瓦礫をもらいたいぐらいだ。」(8月、国交大臣が前向きになるも、そのまま↓)
http://www.47news.jp/localnews/hukushima/2011/08/post_20110821101635.html
大畠章宏国土交通相は20日、桜井勝延南相馬市長から提案された放射性物質が基準値以下の木質系がれきを活用し防潮林・防潮堤を造る計画について、技術的な支援や事業費の補助を、政府の第三次補正予算案に盛り込む考えをがれきの仮置き場を視察後報道陣に明かした。
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追追記:2012/03/13 12:52
「みんなの力で瓦礫処理」田中康夫
http://blogos.com/article/33513/
(一部引用)
阪神・淡路大震災以前から、産業廃棄物も一般廃棄物も「持ち出さない・持ち込ませない」の域内処理を自治体に行政指導してきた政府は何故、豹変したのでしょう? 因(ちな)みに東京都に搬入予定の瓦礫処理を受け入れる元請け企業は、東京電力が95.5%の株式を保有する東京臨海リサイクルパワーです。
などなど、田中氏、まともなことを言ってます。
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こちらのエントリもどうぞ。
数々のウソと、汚染ガレキに対する徳島県の毅然とした態度!
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コメント用の追画像
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コメント用に追記
2012/03/22 1:06
コメントいただいた匿名さんに答えます。
コメントで私が「ゼロベクレルが絶対条件」と書いたのは、もちろん今回の原発災害以前に存在していた放射性物質を除いて、です。それぐらいは読み取って欲しかったですけど ^ ^
でもまあ、匿名さんの指摘を受けてコメントに書いた「ゼロベクレル」は撤回します。
では、何ベクレルのガレキなら許容できるか、というと、もともと私はガレキを移動すること自体に反対なので、あまり意味は無いのですが、一応参考になるデータを挙げます。
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東電が発表しているクリアランスレベルについてです。
このページは東電のHPでいまでも見られます。
http://www.tepco.co.jp/nu/qa/qa11-j.html
(引用)
一般に、ある物質に含まれる微量の放射性物質が持つ放射能に起因する線量が、自然界の放射線レベルに比較して十分に小さく、人の健康への影響を全く考慮する必要がないものであるならば、その物質を放射性物質として扱わないことを「クリアランス」といいます。原子力発電所から出てくるコンクリートや金属などが、どのように再利用されたり、廃棄物として埋め立てられたとしても、人体への影響が無視できるといえるよう、再利用および埋設処分を想定した評価経路の計算結果から定められた放射能レベル(それ以下であれば放射性物質として扱わなくて良いレベル)のことを「クリアランスレベル」といいます。具体的には、各事例の計算結果から、人への健康への影響が1年間あたり0.01ミリシーベルト(mSv) ※1 を超えないよう、放射性核種ごとに濃度が定められることになります。例えば、コバルト60という放射性核種のクリアランスレベルは1グラムあたり0.1ベクレル(Bq) ※2 になります。放射能濃度がクリアランスレベル以下であることを所要の手続きにより確認し、普通の産業廃棄物と同様に、性状等に応じて再生利用や処分を可能とする制度が「クリアランス制度」です。
とあります。文中ではグラム換算なのでキロに直すと、コバルト60で100ベクレル/kgです。
現状の基準値は、セシウムだけで8000ベクレル/kgです。他の核種は測りもしていません。現在のガレキ議論では、このクリアランスレベルが完全に無視されているのです。
それで安心・安全だと、なぜ言えるのか理解できません。というか、何度も言っているように、8000ベクレルの基準さえ守られているかすら怪しいのです。
匿名さんのコメントに「相対的に岩手より関東が高い」とありますが、その通り関東も汚染されています。それについての対処が必要です。だからといって「がれき受け入れを反対する理由が無い」ことにはなりません。汚染された場所それぞれの土地で、対処する必要がある、ということです。
ホットスポットという言葉があるように、場所によって、汚染はまだらに起こります。均等に降り注ぐわけではなく、低い場所と高い場所が混在しているのです。それらすべてを把握することは非常に困難です。この認識についても乖離してますね。
それに、ガレキの問題は岩手県から関東に移動するだけの話ではありません。西日本、九州、沖縄までが受け入れ検討しているのです。宮城県の隠蔽体質もひどいですし。
あと、体内にもカリウム40などの放射性物質があることももちろん知っています。
自然に存在する放射能と今回原発から放出された放射能との違いについては、
自然放射性物質と人工放射性物質のちがい
http://mononomikata-kerogg.blogspot.jp/2011/09/blog-post_02.html
を参照してください。
核実験などで放出された放射能があることも承知しています。ですが、今回の原発災害で降り注いだ放射性物質の量は、50〜60年代の核実験、チェルノブイリ事故で日本に降下した量の比ではありません。桁が違うのです。
参考
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65796289.html
「一時的に雇用を作っても、数年で仕事が無くなるのでは意味が無い」とありますが、数年で処理が済むのなら、現地でやればいいじゃないですか。都市部に作れば後で使える、とか効率の話をするなら、大量のガレキの運搬こそ無駄の極致です。
「恒常的なごみ処理の需要」は地方にもありますし、都市部での通常のゴミ処理施設はすでにあるので、新たに作る必要に迫られているわけではありません。
そしてなにより、いろいろな技術的な話以前に、現状、日本の行政がまったく機能していないことが問題だ、と私は主張しているのです。
これらを踏まえて、今回の原発災害で汚染されたガレキを他県、全国に拡散するのはナンセンスだと思ってもらえないのなら、それはもう仕方ないですね。
あまりに意見が違いすぎるので、ちょっと疲れました。